| 琉球列島のバリントニア TOPIX11 |
| ■石垣島のゴバンノアシ |
石垣市の美崎公園(港のすぐ横でホテル宮平の前)に大きなゴバンノアシの木があります。この公園が整備されたとき、どこか近くの、あるいは離れ島の海岸に自生していた株を移植したと思われます。この木は「巨樹・巨木・古木」として石垣市『緑の戸籍簿』に登録され、それには樹齢が推定100〜150年と記されています。
この木もサガリバナ同様、夏の夜に花を咲かせます。暗闇の中、ほのかな香りとともに1本のめしべの周りに、白と先が紅紫をしたおしべが多数のび、手のひら大の花が開きます。その花は一晩だけの命で、夜明け前には散ってしまいます。夏から秋にかけて咲いた花は、秋から翌年の3月頃まで実をつけます。この木の和名は、果実の形が『碁盤の脚』に似ていることに由来しています。
毎年、秋頃から沖縄の島々には、ゴバンノアシの実が流れ着きます。これらの漂着種子は、椰子の実などとともに遠い南の国から黒潮で運ばれてきたものです。九州や本州より南、黒潮の波が打ち寄せる海岸では、長い歴史の中で毎年くり返されてきた季節の風物詩です。沖縄の島々に流れ着き、そこが運良く発芽して生育できる場所であった実が、今、八重山諸島で見られる数少ない自生の株だと考えられます。
それにしても、沖縄の島々には毎年ほぼ同密度でゴバンノアシの実が流れ着くのに、どうして石垣島より北に位置する多良間島や宮古島で自生の株が見られないでしょうか。専門家の推測によると、石垣島と多良間島との間に「熱帯植物の同種が寒さに耐えうる温度の北限線があるのでは」と言われています。確かに同種は、冬の低温に耐えられないようで、宮古島より300km北に位置する沖縄本島で育てた鉢植えの苗木は、2月や3月の寒さに葉を落とし、幹の半ばまで枯れてしまいました。完全に枯れていませんが、この夏に再び発芽して葉をつけても、また冬の寒さで枯れてしまい、大きく育つことは困難と考えられます。
おきなわ環境クラブ(OEC)では、西表島や石垣島でゴバンノアシ並木を造ろうと、昨年から沖縄本島で苗木つくりを始めていますが、そのほとんどをこの冬の寒さで幹の上半分枯らしてしまいました。今年の秋こそは、移植先の暖かい西表や石垣へ運びたいと思います。
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写真2. 夏から秋の暗闇に咲くゴバンノアシの花 |
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