沖縄の水環境について TOPIX2
■宮古の水辺自然(1) −水辺の現状−

 宮古の自然と水環境を考える時のキーワードは、石灰岩の島、八重干瀬(やびじ)、ヒルギダマシ、大野山林、ピンザアブ、地下水、地下ダムだろう。
 島は平坦で開発が容易だ。リゾート施設、埋立、ダム、道路、橋、護岸、港などの建設、そして土地造成など、島の隅々まで開発が進んだ。人の手によって多くの自然が改変されてしまった。一度こわされた自然は、人手を借りたとしても回復が遅く、元に戻らないことが多い。このようなことは、宮古に限らず、県内の人の住む島々で起きている。
 学校の帰り道、かばんを畦においてカエルやゲンゴロウをつかまえた池や沼が、今はもう無い。ベニツケガニ(バタラガン)の棲む岩穴、タイワンガサミ(ツヌガン)がいた海草帯も消えてしまった。便利・豊かさを享受できた一方で、失ってしまったものも多いと感じる。宮古に帰るたびにそう感じるのは私だけなのだろうか。
 宮古島は、マングローブの1種であるヒルギダマシの自生地として、世界における分布の北限地である。近年は、沖縄本島にも八重山から移入されている。県は絶滅のおそれのある野生生物としてレッドデータブックに記載している。平良市は、平成12年3月、島で唯一同種の群落を残している島尻マングローブ林を天然記念物に指定した。以前は、与那覇湾奥の池原干潟や伊良部島と下地島の間などに小群落があったが、埋立や道路でせき止められたため、生育の場が消え、枯死した(写真1)。



写真1. 下地町池原干潟マングローブの枯死
埋立のためヒルギダマシなどマングローブが消失。

 マングローブ湿地は、沖縄で最も痛めつけられ、いじめられてきた生態系だと思う。宮古に限らず、沖縄の島々で同様なことが起きてきた。宮古においては、与那覇湾や島尻マングローブ林も過去に淡水化や干拓の計画が持ち上がり、その計画は消えたものの、流域(集水域)や海岸の開発によって大量の土砂が流入し堆積した。島尻のマングローブの林内では、赤茶色の泥に足を取られ、歩行が困難である。急激な土砂の堆積のため、本来豊富であるはずの巻き貝やカニの仲間など、底生生物が貧弱だ。それ以上に、林床が浅くなったためヤエヤマヒルギが旺盛になり、ヒルギダマシが圧倒されていることが心配だ。



写真2. 島尻マングローブに投棄された車

 

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