沖縄の水環境について TOPIX2
■宮古の水辺自然(2) −水辺自然の保全対策−

 前ページで、湿地の埋立や陸域の開発によってマングローブ湿地や海草帯など、潮間帯(ちょうかんたい)とよばれる水辺の自然が痛めつけられ、いじめられてきたことを紹介した。
 宮古島では森林面積率が15.5%(平成11年度)に低下しており、県平均47%の約1/3の値である。3割以下だと人間生活に悪影響が出てくるといわれるが、宮古ではサトウキビなど、畑の緑がそれを補っているのだろうか。
 このような低い森林面積率の中にあって『大野山林』は、119 haとまとまった面積を有し、植物希少種が生育し、また野鳥のすみかとして、宮古島で最も貴重な林といえる。企業団では、重要な水源涵養林に位置付け、水源地流域保全事業の一環として、畑として使わなくなった所に植林を行っている。おきなわ環境クラブは『大野山林』をハブのいない石灰岩の島の森と位置付け、植生を学び野鳥を観察する環境教育の場として、重要な水辺自然の一つだと考えている。
 平良市は平成7年自然環境保全構想を策定し、平成9年、『平良市自然環境保全条例』を制定している。同条例によって平成11年7月、動物80種と植物36種が『保全種』に指定されている。『保全種』とは、市内に分布する動植物で、市民に親しまれ、由緒があり学術的上重要な種と定義している。

 一昨年の夏、既に島から消えて無くなったと思っていたサガリバナが添道の水田跡に残っていることを知り、うれしくなった。周りは農地整備が行われ、サガリバナ小群落が分布する湿地帯だけがその工事から残され、保全種に指定されていた(写真3)。保全種指定に加え、湿地一帯を保全地域としてより強力に保全管理していくことを切に希望する。



写真3. 平良市添道に残るサガリバナの小群落
平良市の保全種に指定されている。

 水辺自然の保全対策は、法律、条例に定める天然記念物指定によっても行われる。宮古の天然記念物には、県が指定する東平安名岬の隆起珊瑚礁海岸風衝植物群落、市町村が指定する平良市島尻のマングローブ林、下地町与那覇のトマイ御嶽(うたき)植物群落、上野村野原の大嶽(おおたけ)公園の植物群落など、水辺の植物群落が多い。
 このように御嶽に宮古の原植生(元々の植物群落)が残っているのは、昔から信仰の対象として神聖な場になっていたからである。法律や条例にも増して、最も有効な水辺自然の保全対策であり、今後も守り続けていきたいものだ。
 さらに重要な保全対策は、島の自然に関する体系だてた情報の提供と共有である。市町村の教育委員会は、文化財要覧を通して天然記念物などの情報を提供している。これらの情報を地元に住む方々をはじめ、島外から来る人達も含めて、広く共有すること、そのことから水辺自然の保全対策が始まると考える。
 



写真4. サガリバナ群落の公園整備

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