| 沖縄の水環境について TOPIX2 |
| ■宮古の水辺自然(3) −水辺自然の活用と課題点− |
前ページで、宮古の水辺自然については、法律や条例による天然記念物指定などの保全対策がなされたこと、それ以上に神聖な信仰の場として御嶽(うたき)が島の植生を守ってきたこと、そして、私たちが自然について理解を深めるために情報を共有することなど、これらが島の自然を守るには重要であることを述べた。
宮古島を特徴づける水辺自然は、石灰岩と島尻層群の組み合わせで造られている地形や地質、湧水、地下水だろう。島の南海岸には、七又海岸に代表される石灰岩の断崖や無数の湧水が見られる(写真5)。また、東平安名崎から続く、岩に張り付くようなテンノウメやクサトベラなど、独特の風衝植生が多く残っている。それらと隣り合わせに島の自然をうまく利用して造った福里、皆福、砂川の地下ダムとその展示施設や公園、自然エネルギーを使った太陽パネルや風車など、現代の科学技術が配置されている。
写真5. 城辺町七又海岸
湧水と風衝植生が見られる。島の周りは立派な道路が走っており、その沿道には、無数の湧水、マングローブ、御嶽林、ウリガー、風衝植生などの水辺自然、そして人工の掘り抜き井戸、硬度低減化施設、地下ダム、自然エネルギー施設などがあり、これらを組み合わせたエコツアーが可能である(写真6)。
写真6. 平良市島尻のマングローブ林
林内に木道や石橋など、観察コースを建設中。昨年、那覇で開かれた『宮古群島の植物相と植生』と題した講演の中で、新城和治元琉大教授は、宮古では自生植物が26年前は592種(初島、他1975)あったが、今ではかなり多くの種が消えたのではと懸念されていた。特に湿地など、水辺の植物(シダ類)が少なくとも19種は、すでに宮古から消えたであろうといわれた。1960年代、宮古島の水田はサトウキビ畑へ変えられ、そして今は農地整備によって池や沼など湿地の多くが、植物が育たない、動物が棲みにくい環境に変えられてしまった。
このように自然を改変し、島の生物種を失ってしまう前に、残す手だてはなかったのだろうか。開発計画を立てる前から、そして工事の途中であっても立ち止まって検討するためには、判断に必要な情報が求められる。すなわち、これまで行われた改変の多くは、自然についての情報や理解が足りなかったことよって起きてきたと考えている。
今、情報技術(IT)の発達はめざましく、宮古島においても『田園マルチメディア計画』など、その基盤整備が進められている。このITを駆使して、宮古島の自然と水環境に関する情報を収集・発信すれば、それが保全に結びつく有効な手だてだと考えている。そこで、おきなわ環境クラブでは『宮古島の自然と水環境』ガイドブック(3)の出版等を通して島の情報を収集・記録し、そしてホームページなどで発信していく計画である。
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